【著作権】「私的使用目的」はどこまで認められる?

著作物は、著作物を使用する者が「個人的に又は家庭内にその他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするとき」は、一部例外を除き1、著作権者の許諾なく複製することができます。

(著作権法第30条第1項本文)

本条による権利制限が認められている理由は、個人又は数人単位での使用であれば著作権者の利益を害する程度が低いと判断されているためです。複製が認められている範囲が、「個人的に又は家庭内」と規定されているのは、複製物を利用する人数が一人から一世帯内程度に収まることを前提としております。なお、「これに準ずる限られた範囲内」については、多くても10人程度と解釈されております。

ただし、企業内における利用については、人数にかかわらず私的使用には該当しないとされているため、例えば、会議資料として書籍をコピーする、PDF化して配布するなどの行為は、著作権法に該当するため、ご注意ください。

「私的使用目的」として複製が認められるケース「私的使用目的」として複製が認められないケース
〇個人での鑑賞を目的としてテレビ番組を録画✕企業内での利用
〇数人単位のバンドで演奏するために楽譜をコピー✕SNSのアイコンに利用
〇私的に鑑賞するためAIを利用して画像等を生成✕AIを利用して生成した画像等を公表・販売2

まとめ

個人・数人単位での使用を目的とする場合、複製ができる

一定の場合、私的使用目的であっても複製ができない

(脚注)

  1. 「私的使用目的」であっても、以下に該当する場合は例外的に複製が認められません。
    ・公衆利用目的で設置されている複合機を用いた複製
    ・コピーガードを回避して複製する場合
    ・著作権を侵害する形でインターネットにアップロードされた著作物を、著作権侵害と知りながら録音・録画・ダウンロードする場合
    (著作権法第30条第1項各号) ↩︎
  2. 既存の著作物との「類似性」および「依拠性」で判断されるため、認められる余地はある。 ↩︎
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