農地法第5条申請における「新・中間省略登記」について

農地法第5条許可申請では、原則として当事者(売主・買主)が共同で申請しなければなりません。しかし、売買契約で中間者(不動産業者等)が存在する場合、申請者は誰になるのか? また、別途農地法第3条の許可を得る必要があるのか? について解説いたします。

(参考)農地法による規制を簡潔にまとめると下記のとおりになります。

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対象許可権者
第3条農地のまま権利が移動する場合農業委員会
第4条自己所有の農地を農地以外のものに転用する場合都道府県知事(農業委員会経由)
第5条農地を農地以外に転用して権利が移動する場合都道府県知事(農業委員会経由)
目次

新・中間省略登記とは?

「新・中間省略登記」とは、不動産売買における登記を一部省略することです。今回の事例に当てはめると、下記の図式になります。

つまり、A→Bへの名義人変更登記を省略して、直接A→Cに所有権を移転させる手段であり、不動産取引の活性化を図るため、このような「第三者のためにする契約」(民法:第537条)が用いられることがあります。不動産取引の実務では、三為(さんため)契約と呼ばれることもあります。

なお、Bにとっては、登録免許税や司法書士報酬等が不要になりますので、節約・節税にもつながります。また、Aにとっては、エンドユーザーであるCから「契約不適合責任」を追及されることはありませんし、逆に、Cにとっては、宅建業者であるBに「契約不適合責任」を追及できるということになりますので、安心して不動産取引を行うことができるといえるでしょう。

農地法第5条許可の申請者は誰になるのか?

結論としましては、が連名で申請する必要があります。ただし、「Bが土地を取得すると同時にCに売却する」というスキームが前提となります。

別途農地法第3条の許可を得る必要があるのか?

結論としましては、A→Bへの売買に際して、農地法第3条の許可は不要です。ただし、「中間省略登記によってA→Cに所有権を移転する」というスキームが前提となります。

まとめ

以上、農地法第5条許可申請では、売主・買主による連名での申請となりますので、申請完了までに時間を要するケースが多くなります。また、今回例示した「第三者のためにする契約」においては、さらに当事者が増えることになりますので、スケジュールにバッファを持たせることが必要になります。

なお、大野市・勝山市における農業委員会への提出締切は、原則毎月10日となります。つまり、当月の締切に間に合わない場合は、来月締切の審査対象となりますのでご注意ください。

弊所では、農地法許可申請のご依頼を積極的に承っております。

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