【在留資格】「短期滞在」で外国のプロスポーツ選手を呼び寄せる際の注意点について

外国のプロスポーツ選手が日本で試合やイベントに参加する場合、「短期滞在」の在留資格では正当に活動できないことがあります。今回は、「報酬」と「賞金」にフォーカスして、その理由と適切な在留資格について解説します。

短期滞在とは?

「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」が短期滞在に該当します。

第1のポイントは「短期間」であることです。期間が短いこと、一時的であることという客観的要素と、本人がそのように認識しているという主観的要素によって決まります。具体的な期間としては、90日もしくは30日又は15日以内とされております。

第2のポイントは「短期滞在」の在留資格に対応する活動には「就労活動は含まれない」ということです。したがって、就労活動又は就労活動が含まれている活動を行う場合は、「短期滞在」の在留資格には該当しません。

「報酬」との関係

上述のとおり、「短期滞在」の在留資格に対応する活動に就労活動は含まれないため、原則として「報酬」を受け取ることはできません。

ただし、「短期滞在」の在留資格をもって在留する外国のプロスポーツ選手も、入管法上の「報酬」に該当しないとされている「業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定める報酬」を受ける活動を行うことは可能です。

▼出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条の3(臨時の報酬等)

第十九条の三 法第十九条第一項第一号に規定する業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の報酬は、次の各号に定めるとおりとする。
 一 業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬
  イ 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
  ロ 助言、鑑定その他これらに類似する活動
  ハ 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
  ニ 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動
 二 親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬
 三 留学の在留資格をもつて在留する者で大学又は高等専門学校(第四学年、第五学年及び専攻科に限る。)において教育を受けるもの(専ら日本語教育(日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律(令和五年法律第四十一号)第一条に規定する日本語教育をいう。以下同じ。)を受けるものを除く。)が当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動に対する報酬

e-GOV法令検索 出入国管理及び難民認定法施行規則

「賞金」との関係

賞金は、特定の試合やイベントで優れた成果を上げた選手に対して与えられる金銭であり、成績に基づく成果報酬である場合が多く、通常はその競技団体や主催者が支払うものです。この賞金が入管法上の「報酬」に該当するかどうかは、活動の目的報酬の性質などの要素によって判断されます。

したがって、海外のプロスポーツ選手が日本で受け取る賞金は、原則として、入管法上の「報酬」に該当する可能性が高いといえます。

違法性のリスク

適切な在留資格を取得せずに賞金を受け取ると、不法就労となり、入管法第70条に基づく罰則の対象となるほか、強制的に退去を命じられ、将来の入国制限につながる可能性があります。

適切な在留資格

「報酬」や「賞金」を得る可能性がある場合は、以下の在留資格を検討する必要があります。

「興行」プロスポーツの試合やイベントに参加する場合、この在留資格が該当する可能性が高く、報酬を伴う活動も認められています。
特定活動」特定の目的に応じた柔軟な在留資格であり、特定のスポーツイベントや大会参加が該当する可能性が高いといえます。

まとめ

入管法施行規則第19条の3を踏まえますと、海外のプロスポーツ選手が日本で試合に出場して受け取る賞金は「報酬」に該当する可能性が高いといえます。したがって、「報酬」や「賞金」を受け取る可能性がある場合は、「短期滞在」ではなく「興行」の在留資格を取得することをお勧めいたします。

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